日経サイエンス  2016年1月号

アイスキューブ 南極でニュートリノを捉える

F. ハルゼン(ウィスコンシン大学マディソン校)

 アイスキューブは南極点の氷床深部に建設されたニュートリノ観測施設だ。ニュートリノは物質粒子とほとんど相互作用しないので,通常は氷床中を素通りするが,氷を構成する原子核と,ごくまれに反応して発光現象が起きる。アイスキューブはこの発光を捉える。アイスキューブは実験開始以来,かつて観測されたことがないほどエネルギーが高いニュートリノを数十個検出している。それらの多くは宇宙のはるか彼方から飛来した「宇宙ニュートリノ」で,星の大爆発など非常に激しい現象が発生源になっているとみられる。宇宙ニュートリノは深宇宙の謎に満ちた高エネルギー現象や,地球に降り注ぐ高エネルギー荷電粒子「宇宙線」の発生源を解明する手がかりになる。

著者

Francis Halzen

ウィスコンシン大学マディソン校で素粒子物理学と天体物理学,宇宙論を研究している。アイスキューブ実験の研究代表者。

原題名

Neutrinos at the Ends of the Earth(SCIENTIFIC AMERICAN October 2015)

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