
21世紀物理学の最前線は「M理論」や「ド・ジッター宇宙」といった不思議で魅力的な名前の事柄を追究する研究を含んでいる。そしてそれらの努力の多くが,時空のたわみから重力がいかに生じるかを説明したアインシュタインの理論に大きく依存している。
SCIENTIFIC AMERICANはデータ可視化企業オフィス・フォー・クリエイティブ・リサーチ(OCR,ニューヨーク)の協力を得て,相対論関連分野の近年の物理学論文がアインシュタインの100年前の代表作をもとにしている度合いを探ることにした。
OCRはまず1年分の物理学論文から,一般相対論やその派生概念に言及しているものを抽出した。具体的には,arXive.orgに蓄積された2014年の物理学論文2435本のアブストラクト(要旨部分)を,IBMの人工知能システム「ワトソン」に組み込まれている強力なテキスト解析プログラムによって処理した。
これによって,arXiveの一般相対論と量子宇宙論のセクションに記録された論文のアブストラクトに繰り返し出現するキーワードを抽出。その後われわれ編集部がこのリストを61のキーワードにまとめた。これらは一般相対論から育った研究トピックを表している。次にOCRがarXiveの相対論セクションをスキャンし,これら61のキーワードのどれが最も頻繁に論文中に出現するかを探った。
ここに示したビジュアルがその結果だ。色つきの輝点はそれぞれ,一般相対論とその派生概念に言及した個別の論文を表している。一目見れば,アインシュタインの考えがいまなお揺るぎない力を持っていることがわかるだろう。毎年発表される何千本もの論文が,彼の知的所産に言及している。一般相対論は今後も物理学の礎石であり続けるだろう。いまから100年後にもう一度解析し直しても,これと同様のビジュアルが再び出現するに違いない。
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Relativity’s Reach [Interactive Graphic]
原題名
Relativity’s Reach(SCIENTIFIC AMERICAN September 2015)