
オンコセルカ症(河川盲目症)と呼ばれる病は川辺でよく発生する。ブユが媒介するフィラリア線虫の幼虫が体内に入り込むと,皮膚に猛烈なかゆみを生ずる。症状が進み,幼虫が目に集まると失明する。熱帯地域では失明の主要な要因になっている。世界で推定2500万人の感染者がおり約30万人が失明に至っているとされる。2015年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった大村智博士らが開発した薬「イベルメクチン」はアフリカや中南米の人々を苦しめる,この感染症の特効薬だ。年1回程度,経口投与するだけでオンコセルカ症を予防できる。世界保健機関(WHO)はイベルメクチンを用い,オンコセルカ症の撲滅作戦を進めており,2020年代の制圧を目指している。
著者
滝 順一
日本経済新聞論説委員。科学技術分野を幅広く取材。本誌コラム「砂漠の駝鳥」を執筆。
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