日経サイエンス  2015年11月号

オオカミからイヌへ

V. モレル(サイエンスライター)

イヌの祖先はオオカミであり,人間がこれを飼い慣らしたことで従順かつ頼りになる「人類最良の友」になったとされている。しかし,危険なオオカミを誰がいつどこで家畜化したのか,はっきりとはわかっていない。有力視されてきた説は,北半球に広く分布するタイリクオオカミがイヌの祖先で,家畜化の時期は人類が農業を始めた後というものだったが,近年のDNA解析によってこれが覆った。祖先はすでに絶滅した別種のオオカミで,家畜化は人類がまだ狩猟採集生活をしていたころだったらしい。真相に迫るべく,古代から現在に至るイヌとオオカミの遺伝子サンプルを集めて包括的な比較研究を行うプロジェクトが始まった。

 

 

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再録:別冊日経サイエンス209「犬と猫のサイエンス」

著者

Virginia Morell

オレゴン州を本拠とするサイエンスライター。進化や動物行動学に関する記事をScience誌やNational Geographic誌などに執筆している。近著は「Animal Wise」(Crown,2013年)。

原題名

From Wolf to Dog(SCIENTIFIC AMERICAN July 2015)

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