日経サイエンス  2015年11月号

特集:大地の変動を探る

西之島噴火と巨大深発地震

中島林彦(編集部) 協力:田村芳彦/大林政行(ともに海洋研究開発機構)

小笠原諸島の西之島が噴火,島が大きく成長している。噴火をもたらしたマグマは周辺の火山島とは異なる種類で謎が多い。そのマグマを調べることで,海惑星だった原始地球で大陸が誕生した仕組みを探ることができる。 噴火中の西之島のほぼ真下,深さ約680kmで今年5月,マグニチュード(M)8級の巨大地震が起きた。震源が非常に深くて規模が大きく,これまで知られていなかったメカニズムで起きている。いずれの現象も伊豆・小笠原海溝からフィリピン海プレートの下に沈み込んでいる太平洋プレートによる。謎が多いこれらの現象を研究することで,火山噴火や地震発生についてより深い理解が得られるかもしれない。

 

 

再録:別冊日経サイエンス217 「大地震と大噴火 日本列島の地下を探る」

 

著者

中島林彦 / 協力:田村芳彦/大林政行

中島は日経サイエンス編集長。田村は海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋掘削科学研究開発センターのマントル・島弧掘削研究グループのグループリーダー。専門は地球惑星科学と岩石・鉱物・鉱床学。西之島の溶岩を研究することで,地球に大陸が出現した謎に迫る「たいりくプロジェクト」で中心的な役割を果たしている。大林はJAMSTEC地球深部ダイナミクス研究分野の主任研究員。専門は地震学。地震波の観測データを用いたトモグラフィーという手法で,海溝から沈み込んだ海洋プレートの振る舞いを研究している。

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