日経サイエンス  2015年10月号

カリフォルニアの大干ばつ

D. バウム(ジャーナリスト)

カリフォルニアが前例のない干ばつに見舞われている。過去にも少雨が数十年にわたって続いた例が樹木の年輪に記録されてはいるが,現在のように多くの人口が土地利用している状況での深刻な干ばつは例がない。ダム湖が干上がる一方,地下水の野放図な汲み上げで農業地域セントラルバレーの地盤が沈下。シエラネバダ山脈の森では古くからの巨木が枯死し,小さな樹種に置き換えられている。カリフォルニアのシンボルともいえるあのセコイアも例外ではない。畑は作付けできず,果樹は森林火災で焼失し,上水道は干上がっている。ただ,大胆な対処法も動き出している。節水や地下帯水層への“給水”などを新産業として育てることができるだろう。
 
 
再録:別冊日経サイエンス214「人類危機 未来への扉を求めて」

著者

Dan Baum

著述家。近著は「Gun Guys: A Road Trip」。元New Yorker誌の記者で,世界各地をリポートしてきた。

原題名

Change of State(SCIENTIFIC AMERICAN August 2015)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

メガドラウトジェット気流ラ・ニーニャエル・ニーニョパーマー干ばつ水理学指数