
シリコン製が支配する太陽電池の市場で,「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶材料でできた新型の太陽電池が注目されている。日本の大学で生まれた成果で,世界中の研究者が実用化を目指し開発競争に参入している。光電変換効率の記録は上昇,シリコン製に急速に近づいており,将来はシリコン製を超える可能性がある。また低温で作製できるので製造コストの抑制が可能なうえ,柔軟で色もカラフルで応用範囲も広がりそうだ。屋根だけでなく,窓や外壁に組み込むといったアイデアも出ている。ただ「短時間での劣化を防ぐ」「微量に含まれている鉛を永久に封じ込める」「大型化する」といった開発課題も抱えている。
著者
Varun Sivaram / Samuel D. Stranks / Henry J. Snaith
シバラムは米外交問題評議会の研究員で,エネルギーや技術,安全保障を研究。ストランクスはマサチューセッツ工科大学の研究員で,ペロブスカイトの光学的・電子工学的応用を研究。スネイスは英オックスフォード大学の物理学教授で,自身が共同設立したオックスフォード・フォトボルタイクスの最高科学責任者を兼務。
監修:宮坂 力(みやさか・つとむ)
桐蔭横浜大学医用工学部・大学院工学研究科教授。本文にもあるようにペロブスカイト太陽電池開発の先駆者。
原題名
Outshining Silicon(SCIENTIFIC AMERICAN July 2015)