日経サイエンス  2015年10月号

炎症反応の指揮者 インフラマソーム

W. Z. メハル(エール大学)

炎症が起こる際に作られる「インフラマソーム」というタンパク質複合体に注目が集まっている。炎症反応には多数の免疫細胞やシグナル分子が介在し,非常に複雑なものに見えるが,実際には,体内のすべての細胞はほぼ同じ経路を介して炎症を起こしていることがわかってきた。その経路とは,病原体や組織の損傷によってインフラマソームが活性化されるとサイトカインという物質が放出され,組織がサイトカインに反応するというものだ。心臓病も痛風もアルツハイマー病も,このインフラマソームの関与で説明できる。インフラマソームが作られるどこかの段階を阻害することが幅広い病気を治療する共通の糸口になるかもしれない。
 

 
再録:別冊日経サイエンス234「最新免疫学 がん治療から神経免疫学まで」

著者

Wajahat Z. Mehal

コネティカット州にあるウェスト・ヘブン退役軍人省医療センターとエール大学の双方で,炎症反応の研究プログラムを主導し,肝臓病患者の治療にあたっている。

原題名

Cells on Fire(SCIENTIFIC AMERICAN June 2015)

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