
メキシコから米国への密入国者が途中で行き倒れになる例が多く,困惑したテキサス州など地元当局は遺骸を氏名不詳のまま共同墓地に葬っている。これを知った3人の法科学者が遺骸の身元を特定して遺族のもとへ帰す試みを始めた。最新の解剖学的推定法やDNA解析を駆使して,ある遺骸の身元をホンジュラス出身の37歳の女性と特定したが,こうした成功例はごくわずか。厳しい取り組みが続いている。
再録:別冊日経サイエンス219 「人類への道 知と社会性の進化」
著者
Ananda Rose
ジャーナリスト。著書に「Showdown in the Sonoran Desert: Religion, Law, and the Immigration Controversy」(オックスフォード大学出版局,2012年)。テキサス州での移民の死をテーマに2冊目の著書を執筆中。
原題名
The Mystery of Case 0425(SCIENTIFIC AMERICAN June 2015)