日経サイエンス  2015年9月号

特集:宇宙の光を読み解く

銀河系外背景光で探る宇宙史

A. ドミンゲス(米クレムゾン大学) J. R. プリマック(米カリフォルニア大学サンタクルーズ校) T. E. ベル(サイエンスライター)

夜空は暗く見えるかもしれないが,実際には宇宙の歴史の中で輝いたことのあるすべての銀河の光が蓄積して充満している。この銀河系外背景光は膨張する宇宙全体に広がっていて,近くのもっと明るい光源に紛れるため検出が難しい。ブレーザーと呼ばれる遠くの明るい銀河(活動銀河核)からのガンマ線が,銀河系外背景光の光子と衝突してどれだけ弱まるかを観測することによって,とうとうこの光を測定できるようになった。銀河系外背景光を調べることによって,そこに保存された宇宙史の記録を吟味できる。
 

 
再録:別冊日経サイエンス241「巨大ブラックホール 宇宙と銀河の進化を探る」

 

 

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著者

Alberto Domínguez / Joel R. Primack / Trudy E. Bell

ドミンゲスはクレムゾン大学の物理・天文学科のポスドク研究員で,銀河の進化と宇宙論を研究している。プリマックはカリフォルニア大学サンタクルーズ校の高名な物理学名誉教授。宇宙論,ダークマター,銀河について現代的な理論を考え出した主要人物の一人。ベルはSCIENTIFIC AMERICANとIEEE Spectrum誌の元編集者で10冊以上の著書がある。

原題名

All the Light There Ever Was(SCIENTIFIC AMERICAN June 2015)

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