日経サイエンス  2015年8月号

氷を壊し気候を揺さぶる北極海の大波

M. ハリス(科学技術ライター)

北極の氷が地球温暖化モデルの予測よりも速いペースで融解している。モデルが考慮に入れていない何かが起きているようで,以前には見られなかった巨大な波がその原因らしい。海氷が解けると,水面が開けて波が成長する余地が生まれる。その大波がぶつかって周囲の海氷が消え,水面が開けて,さらに波が立つ──という悪循環だ。こうして新たに開けた北極海は,はるか遠くの天候パターンや沿岸を形成している永久凍土の侵食,国防にも影響を及ぼす可能性がある。北極の大波の実態を把握すべく,多数の自律型無人観測機を展開して波高や水流,温度,塩分濃度などのデータを収集する科学的な追跡調査が始まった。

 

 

【関連動画】水中ロボットによる北極海の海氷と波の調査の様子


 
再録:別冊日経サイエンス240「気候大異変 いま地球で何が起こっているのか」
再録:別冊日経サイエンス214「人類危機 未来への扉を求めて」

著者

Mark Harris

シアトル在住の科学技術ライラター。

原題名

Waves of Destruction(SCIENTIFIC AMERICAN May 2015)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

永久凍土ジェット気流極渦北西航路吹送距離