日経サイエンス  2015年8月号

特集:クォークの世界

「クォークの海」を探る

中島林彦(編集部) 協力:柴田利明(東京工業大学)

原子核を構成する核子(陽子と中性子)はクォーク3つからなるとされるが,実際には膨大な数のクォークと反クォークに満ちあふれた海のようなものだ。いずれもカラー(色荷)という物理量を持ち,それが生み出す「強い力」によって結ばれている。クォークの海のダイナミズムは,強い力を記述する量子色力学(QCD)によっている。QCDの方程式は簡潔だが解くのが非常に難しい。そのためクォークの海の組成やスピンという物理量について,わからない部分が多く,日本も加わった国際共同実験によって解明が進んでいる。

著者

中島林彦 / 協力:柴田利明

中島は日経サイエンス編集長。柴田は東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻教授。日本物理学会副会長。専門は素粒子・原子核物理実験。特に核子のスピン構造を研究している。

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