日経サイエンス  2015年7月号

脳を操る寄生生物 トキソプラズマ

G. アリサバラガ B. サリバン(ともにインディアナ大学)

トキソプラズマという原生生物に寄生されたネズミは奇妙なことにネコを怖がらなくなり,簡単に餌食になってしまう。この結果,トキソプラズマはまんまと最終宿主のネコに入って増殖するのだ。近年の研究で,この寄生生物がネズミの脳を操って行動を変える仕組みが具体的にわかってきた。トキソプラズマは人間にも寄生し,感染者は世界で30億人に上るとされるが,同様の脳操作が生じているのだろうか……。

 

 

【関連情報】トキソプラズマ症とは:国立感染症研究所

 

 

再録:別冊日経サイエンス221「微生物の脅威」
再録:別冊日経サイエンス209「犬と猫のサイエンス」

著者

Gustavo Arrizabalaga / Bill Sullivan

2人ともインディアナ大学医学部で薬理学・毒物学・微生物学・免疫学の教授を務めている。それぞれ独立に,トキソプラズマの細胞生物学と分子生物学に的を絞った研究室を率いている。

原題名

Played by a Parasite(SCIENTIFIC AMERICAN MIND March/April 2015)

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