日経サイエンス  2015年7月号

王者の系譜 ティラノサウルスの実像

S. ブルサット(英エディンバラ大学)

ティラノサウルス・レックス(T. レックス)は1世紀以上前に化石が発掘されて以来,恐竜界の王者だ。その半面,この巨大肉食獣のグループがいつ,どのような種から進化したのかは謎のままだった。それが近年,新たに発見された化石によって解明の手がかりが得られた。ティラノサウルス類はその進化史の大部分において,人間サイズの目立たない肉食動物であり,専門家が予測していたよりもはるかに多様で,実に風変わりな解剖学的特徴を持つ種もいたことがわかった。T. レックスは1億年以上に及ぶティラノサウルス類の歴史の中で最後の数百万年間繁栄し,6600万年前の小惑星衝突で滅んだ,いわばティラノサウルス類の最後の生き残りだった。

 

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再録:別冊日経サイエンス220 「よみがえる恐竜 最新研究で明かす姿」

 

著者

Stephen Brusatte

英エディンバラ大学の古生物学者で,主に恐竜の解剖学と進化を研究。恐竜に関する70本以上の専門記事と5冊の本を執筆。英BBC制作のテレビ番組 Walking with Dinosaurs(日本では『ウォーキングwithダイナソー 驚異の恐竜王国』として放送された)で学術監修者を務めている。

原題名

Rise of the Tyrannosaurs(SCIENTIFIC AMERICAN May 2015)

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