日経サイエンス  2015年6月号

ネアンデルタール人の知性

K. ウォン(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 かつてネアンデルタール人はホモ・サピエンスよりも認知能力が低いとみられていた。しかしDNA解析の結果,現在のアフリカ大陸以外に暮らす現代人は,平均で1.5〜2.1%のネアンデルタール人のDNAを受け継いでいることがわかり,彼らの能力と絶滅の謎に新たな関心が向けられている。

 最近の研究によると,両者の脳の構造やDNAには確かに違いはあるが,この違いが知性を支える機能にどれくらい影響したのかは不明だ。一方,文化的な遺物からは,ネアンデルタール人が知的な行動をとっていたことが十分にうかがえる。彼らが絶滅した原因はどこにあるのか。少なくとも彼らが愚かで適応できなかったからではなさそうだ。

 

 

【関連情報】The Neandertal Mystique

 

再録:別冊日経サイエンス219 「人類への道 知と社会性の進化」

 

著者

Kate Wong

原題名

Neandertal Minds(SCIENTIFIC AMERICAN February 2015)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

ネアンデルタール人ホモ・サピエンス頭蓋内鋳型ゲノム FOXP2ジブラルタル骨角器