
広大な海。地球の表面の7割を占め平均水深が約3700mに達する膨大な量の水は,実は原始地球の誕生時にはなかったものだ。太陽系が誕生した頃,原始太陽の強烈な熱と光のため,太陽系の外側領域を除けば水はほとんど存在できず,内側領域の惑星は比較的乾燥した状態だった。現在の地球に存在している水は惑星形成の終盤,小惑星や彗星が降り注ぐことによってもたらされたという説が有力視されている。より大ぶりな準惑星級の天体が起源とする見方もある。ただ,これまでに得られたデータでは正確なところはわからず,解明は太陽系の未踏領域についての将来の探査にかかっている。もしかすると永遠に謎のままになるかもしれない。
著者
David Jewitt / Edward D. Young
ジューイットは7歳の時,ロンドンで壮麗な流星雨を目にして驚き,天文学に興味を持った。現在,米国科学アカデミーのメンバーでカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。水をたくさん飲む(ただし常にコーヒーとして摂取している)。ヤングはカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授で専門は地球化学と宇宙化学。同大学の惑星・系外惑星研究所にも属する。高度な研究設備と世界最大級の望遠鏡を用いて隕石や星間物質,他の恒星の化学を研究し,太陽系の起源にまつわる手がかりを探している。
原題名
Oceans from the Skies(SCIENTIFIC AMERICAN March 2015)
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