日経サイエンス  2015年6月号

特集:脳刺激治療

難治性うつ病に効果 脳回路を再起動

A. M. ロザーノ(カナダ・トロント大学) H. S. メイバーグ(エモリー大学)

 米国人の約17%は一生のうちのどこかで,「大うつ病エピソード」と呼ばれる精神症状に苦しむ。患者の最大20%は,薬物療法や電気けいれん療法など現在可能な治療法による効果が見られない。そのため脳深部に埋め込んだ電極で神経回路を刺激することで,重いうつ病を治療する研究が進んでいる。この脳深部刺激法はすでにパーキンソン病の治療に用いられており,うつ病患者を対象とした試験が進行中だ。うつ病と関係のある特定の脳回路が明らかになっており,そうした知見が電極をどこに設置すればよいかの参考になる。

 

 

【関連動画】著者の1人H. S. メイバーグの10年間の研究成果を知る動画

 

著者

Andres M. Lozano / Helen S. Mayberg

ロザーノはカナダ・トロント大学の外科の教授。運動障害の治療と脳活動の記録を専門にしている。メイバーグはエモリー大学の精神医学,神経学および放射線医学の教授。うつ病に関与する脳回路を追跡する研究に力を入れている。

原題名

Treating Depression at the Source(SCIENTIFIC AMERICAN February 2015)

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