日経サイエンス  2015年6月号

特集:脳刺激治療

炎症を治すバイオエレクトロニック医薬

K. J. トレーシー(ファインスタイン医学研究所)

熱や圧力,光,化学物質にさらされると,体の器官がそれらのストレスに過剰反応するのを阻止するプロセスが開始される。脳と体の他の器官を結ぶ神経が伝える電気シグナルが,炎症を引き起こす免疫分子の産生を抑制している。体内に埋め込まれた医療装置で神経経路を刺激することで,体が持つ炎症抑制機能を補完できるかもしれない。バイオエレクトロニック医学は,電気刺激を利用して炎症などの疾患の治療を目指す新しい分野だ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス218 「脳科学のダイナミズム 睡眠 学習 空間認識 医学」

 

【関連動画】著者のトレーシーによるバイオエレクトロニック医療の解説

著者

Kevin J. Tracey

ニューヨーク州マナセットにあるノースショアLIJ医療システム付属ファインスタイン医学研究所の所長で,同研究所生物医科学研究室のリーダー。ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学の分子医学科および神経外科の教授を兼任。

原題名

Shock Medicine(SCIENTIFIC AMERICAN March 2015)

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迷走神経反射炎症腫瘍壊死因子免疫系