日経サイエンス  2015年6月号

フロントランナー挑む 第50回

湖底の縞模様が語る古代の歴史をひもとく:中川毅

永田好生(日本経済新聞編集委員)

福井県にある水月湖の底に積まれた堆積物は季節ごとに中身が変わり
周期的な縞模様を描き出す
その中身を探ると,古代の出来事が見えてくる

 

水月湖(福井県若狭町)湖底の堆積物「年縞」が,地球環境の変遷を探る研究で世界の注目を集めている。季節に応じて流れ込む土砂や植物の残骸などがきれいに層状に積み重なり,あたかも大木の年輪のように歴史を刻む。年代を正確に決定できる精度の高さが認められ,年代測定の国際標準に採用された。その一連の活動を率いてきたリーダーが立命館大学教授の中川毅だ。(文中敬称略)

 

 

再録:「挑む!科学を拓く28人」

 

中川毅(なかがわ・たけし)
立命館大学教授古気候学研究センター長。1968年東京生まれ。94年京都大学大学院理学研究科修士課程修了,98年に仏エクス・マルセイユ第3大学で理学博士号取得。国際日本文化研究センター助手,英ニューカッスル大学教授などを経て2014年から現職。13年に大和日英基金の「大和エイドリアン賞」を受賞し,文部科学省の「ナイスステップな研究者」にも選ばれた。

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

水月湖古気候学