日経サイエンス  2015年5月号

透明化が社会に強いる進化

D. C. デネット(タフツ大学) D. ロイ(マサチューセッツ工科大学)

5億4000万年前の海で生物の多様性が急増した「カンブリア爆発」は,海の透明化に適応する爆発的進化だったという説がある。デジタル技術が現代社会をどう変えていくかを,これになぞらえて考察できる。太古の動物が体形や捕食者を欺く方法を進化させて透明化に適応したように,「情報の透明化」が組織の進化に大きな選択圧を及ぼし,機密保持が難しくなった国家や企業は同様の防護策を発達させるだろう。




再録:別冊日経サイエンス249「科学がとらえた格差と分断 持続可能な社会への処方箋」
再録:別冊日経サイエンス212「サイバーセキュリティー」

著者

Daniel C. Dennett / Deb Roy

デネットはタフツ大学のユニバーシティプロフェッサーで認知研究センターの共同所長。近著に「Intuition Pumps and Other Tools for Thinking」と 「Caught in the Pulpit: Leaving Belief Behind」〔ラスコラ(Linda LaScola)との共著〕がある。

ロイはマサチューセッツ工科大学の准教授で,メディアラボにあるソーシャルマシン研究室を率いている。ツイッター社の主任メディア科学者。世界経済フォーラムのソーシャルメディア・グローバルアジェンダ評議会のメンバーでもある。

関連動画
著者のデネットとロイがデジタル社会の未来について語ったもの How Transparency Will Change The World

原題名

Our Transparent Future(SCIENTIFIC AMERICAN March 2015)

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