
気圧や気温の変化に応じて翼の形が適切に変わる飛行機。路面や天候に応じてグリップ面が変化するタイヤ。地震で崩れそうになっても自己修復する橋。コンパクトに折り畳まれた状態からひとりでに組み上がる人工衛星や家具,ビルディング……。そんな便利な構造物を目指し,形や機能を命令ひとつで変えられる「プログラマブル・マター」の研究が進んできた。ヒンジ(ちょうつがい)や電子素子などを適所に埋め込んで適切な状況下で変形できるようにした物体がすでに3Dプリンターを使って作られつつある。安全性の確保などいくつかの注意が必要だが,夢のような自己組み立て式構造物の登場は思うほど遠くはないかもしれない。
【関連動画】
Programmable Carbon Fiber from Self-Assembly Lab, MIT on Vimeo.
著者
Thomas A. Campbell / Skylar Tibbits / Banning Garrett
キャンベルはバージニア工科大学重要技術応用科学研究所の准教授で,シンクタンクのアトランティック・カウンシルの非常勤上級研究員。 ティビッツはマサチューセッツ工科大学セルフアセンブリラボ所長で,同大学建築学科の科学研究員。 ギャレットはワシントンを拠点に活躍する戦略政策アナリストで,長期的な国際社会の動向と技術が社会に与える影響を研究。20以上の学術専門誌などに寄稿している。
原題名
The Programmable World(SCIENTIFIC AMERICAN November 2014)