日経サイエンス  2015年4月号

エボラ戦争

H. ブランズウェル(カナディアンプレス)

 待望のワクチンを目指して 西アフリカで昨年来続いているエボラ出血熱の流行は過去最大のアウトブレイクで,1月中旬までに2万1000人以上が発病し,8500人を超す死者が出ている。以前のアウトブレイクは散発的で幸いにして小規模だったが,その半面,ワクチンや新たな治療法を実際にテストする機会がなく,今回の爆発的流行を封じ込める準備が整わなかった。だが今回は「ZMapp」など少数の実験的治療薬とワクチンの臨床試験に向けて急ピッチの取り組みが進行中だ。特に「cAd3-EBO」および「rVSV-ZEBOV」という2つの実験的ワクチンの大規模な試験が今年前半に始まる予定。エボラウイルスが人体を破壊する病理を含め,戦いの最前線をリポートする。

 

 

【関連記事】エボラ出血熱のアウトブレイクと研究成果の年表

Ebola’s Relentless Tides: A Timeline
 

 
再録:別冊日経サイエンス238「感染症 ウイルス・細菌との闘い」
再録:別冊日経サイエンス214「人類危機 未来への扉を求めて」

著者

Helen Branswell

通信社カナディアンプレスの医療記者。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行を報道して以来,新興感染症に関心を抱いている。

原題名

Ebola War(SCIENTIFIC AMERICAN March 2015)

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