
火山には2タイプある。1つは桜島や浅間山などのような通常起きている「山体噴火」。もう1つは,莫大なマグマの放出によって地表に大きな凹み(カルデラ)を生み出す「巨大カルデラ噴火」だ。過去約12万年間に日本で起きた火山噴火のデータを統計学的手法で解析した結果,巨大カルデラ噴火は山体噴火がスケールアップしたものではなく,噴火のメカニズムが異なる可能性が高いことが明らかになった。巨大カルデラ噴火と山体噴火が起きている地殻では,プレート運動によってもたらされる歪みの蓄積ペースが違っており,そのことが地殻内部におけるマグマの挙動に大きな影響を及ぼしているようだ。
再録:別冊日経サイエンス217 「大地震と大噴火 日本列島の地下を探る」
著者
中島林彦 / 協力:巽 好幸
中島は日経サイエンス編集長。巽は神戸大学大学院理学研究科教授,海洋研究開発機構招聘上席研究員。専門は地球科学,マグマ学で惑星地球の構造と進化に興味を持ち,マグマの発生と分化,大陸形成,地球内部の物質循環と進化,超巨大噴火などのメカニズムを研究している。一般向け著作も多く,近著は『和食はなぜ美味しい−日本列島の贈りもの』(岩波書店)。
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