日経サイエンス  2015年4月号

特集:破局噴火

その時,何が起きるか

中島林彦(編集部) 協力:前野 深(東京大学地震研究所)

 原子力発電所の再稼働をめぐって,巨大噴火のリスクをどう評価するかが議論になっている。日本では1万年に1回の頻度で,国土のかなりの部分を火山灰で覆うほどの巨大噴火が起きている。こうした噴火が起きると,日本は滅亡の危機に瀕することになるので破局噴火とも呼ばれる。破局噴火は火山学ではカルデラ噴火と呼ばれるタイプ。最終段階では直径10kmを超えるリング状の火口から膨大な量のマグマが一気に放出され,大火砕流が全方位に流れ出て,幅広い範囲を焼き尽くし,火山灰で埋める。直近は7300年前に九州南方の島で起きた「鬼界カルデラ噴火」で,地質調査やシミュレーション研究から,当時,どのようなことが起きたのかが浮かび上がってきた。

 

 

補足:破局噴火の発生確率に関するお話
再録:別冊日経サイエンス217 「大地震と大噴火 日本列島の地下を探る」

 

著者

中島林彦 / 協力:前野 深

中島は日経サイエンス編集長。前野は東京大学地震研究所火山噴火予知研究センター助教。専門は火山地質学。噴煙柱や火砕流,溶岩ドームなど火山噴火に伴う地表現象のダイナミクスと噴火堆積物の形成過程に関する地質学的研究に取り組んでいる。火山性津波の発生・伝播過程も研究している。

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