
太陽系が属する天の川銀河を外から眺めると,銀河円盤を取り巻くような幾筋もの輝くループが見えるだろう。このループは星からできていて「恒星ストリーム」という。これまでに10本を超えるストリームが見つかっている。恒星ストリームのおおもとは,天の川銀河の周囲を回っていた矮小銀河だ。矮小銀河は周回を続けるうち,天の川銀河の巨大な重力によって徐々に引き裂かれ,長い筋状の星の列へと姿を変えた。天の川銀河にすでに呑み込まれてしまった恒星ストリームも数多くあることもわかってきた。銀河の考古学者を自任する天文学者は,こうした“埋もれた恒星ストリーム”を発掘し,天の川銀河の進化を解き明かそうとしている。
著者
Kathryn V. Johnston
コロンビア大学教授で天文学科長。英イングランドのヨークシャーに生まれ,ケンブリッジ大学とカリフォルニア大学サンタクルーズ校で学んだ。銀河,特に天の川銀河の起源と進化に関心がある。
原題名
Fossil Hunting in the Milky Way(SCIENTIFIC AMERICAN December 2014)
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