日経サイエンス  2015年2月号

天の川銀河の巨大バブル

D. フィンクバイナー(ハーバード大学) M. スー(マサチューセッツ工科大学) D. マリシェフ(スタンフォード大学)

 宇宙には短波長の電磁波,ガンマ線で輝く天体があり,それを探る超高性能の人工の眼がフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡だ。広い視野を持ち3時間で全天を観測できる。その観測データを解析していた著者らは天の川銀河の中心から銀河円盤に垂直な上下方向にそれぞれ数万光年にわたって広がる巨大な泡状の構造を発見,「フェルミバブル」と名付けた。その形成過程は不明だが,天の川銀河で比較的最近に激しい活動があった証拠だとみられている。2つの仮説がある。天の川銀河中心の巨大ブラックホールから噴出したジェットによってバブルが膨らんだという説と,多数の超新星爆発からの高エネルギー粒子の風によってバブルが膨らんだという説だ。

 

【関連動画】天の川銀河のフェルミバブル

著者

Douglas Finkbeiner / Meng Su / Dmitry Malyshev

フィンクバイナーはハーバード大学の天文学と物理学の教授。ハーバード・スミソニアン天体物理学センター理論・計算研究所のメンバーでもある。スーはマサチューセッツ工科大学(MIT)とMITカブリ宇宙物理学研究所のパッパラルドフェロー兼アインシュタインフェロー。マリシェフはスタンフォード大学および米国立SLAC加速器研究所の博士研究員。フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡に搭載されている大面積望遠鏡LATのチームにも属する。

原題名

Giant Bubbles of the Milky Way(SCIENTIFIC AMERICAN July 2014)

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