日経サイエンス  2015年2月号

特集:後天的な天才

電気刺激で脳を改造

M. ビクソン(ニューヨーク市立大学) P. トシェフ(コンサルタント)

頭皮に弱い電流を流して脳内の信号を変える経頭蓋直流電気刺激(tDCS)という手法がある。脳は神経細胞(ニューロン)が電気的な信号を交わして働いたいるが,ここに電気を流すことで脳内の信号を調整する。片頭痛やうつ病などで薬剤による治療がうまくいかないケースについて,tDCSによる治療が役立つ可能性がある。また,この装置を使って頭の働きを良くする実験も行われている。技術は開発途上だが,適切な電流の流し方が確立し安全性も確認できれば,この方法は脳の病気や精神疾患の治療に広く使われることになるだろう。
 
 
再録:別冊日経サイエンス207「心を探る 記憶と知覚の脳科学」

著者

Marom Bikson / Peter Toshev

ビクソンはニューヨーク市立大学シティカレッジの生体医用工学の教授。120 編以上の論文を書き30 件以上の特許を持つ。神経調節デバイスをデザインするソテリックスメディカルの共同設立者でもある。トシェフは様々な研究機関や民間企業での神経調節の研究と製品開発のためのコンサルタントをしている。2人は神経調節の専門家の団体ニューロモデックを共同で立ち上げた。

原題名

Your Electric Pharmacy(SCIENTIFIC AMERICAN MIND November/December 2014)

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