日経サイエンス  2014年11月号

プライバシーをどう考えるべきか

J. ラニアー(マイクロソフトリサーチ)

米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集を前職員のスノーデン氏が暴露し,NSAの手口が大問題になった。フェイスブックなどのソーシャルメディアを利用する際に自分のプライバシーを守るのはけっこう難しいし,テロ捜査など公共の利益を優先するなら個人はプライバシーを諦める必要があるとの見方もある。しかし,そうだろうか? IT論客として知られる著者ラニアーは「プライバシーについて現代のネット時代にいる私たちがどんな選択をするかが,今後数十年にわたって重大な影響を持つ。全員に単一の倫理を押しつけるのではなく,各人が様々なレベルのプライバシーを選択できるようにすべきだ」と説く。

 

1.不完全な情報
2.プライバシーとは何か?
3.力としてのプライバシー
4.操り人形の悪夢
5.無能の疫病
6.ビッグデータの本当の力量
7.ソフトウエアがすべてを決める
8.未来を設計する方法

 

 

再録:別冊日経サイエンス212「サイバーセキュリティー」

著者

Jaron Lanier

バーチャルリアリティーの研究で知られるコンピューター科学者で,現在はマイクロソフトリサーチに所属。多数の名誉博士号のほか,IEEE のVGTCバーチャルリアリティー・キャリア・アワードなどの賞を贈られている。2010年にはTime誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。著書に『人間はガジェットではない』など。本誌への執筆もたびたびあり,彼が20代だった1980年代にSCIENTIFIC AMERICANの表紙を2度飾った。

原題名

How Should We Think about Privacy?(SCIENTIFIC AMERICAN November 2013)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

NSAソーシャル・ネットワーキング・サービス