日経サイエンス  2014年11月号

血と石の神々 テオティワカンの秘密

E. バンス(サイエンスライター)

 古代メキシコの都市テオティワカン。外遊中の安倍首相が訪れた7月の報道が記憶に新しいが,考古学の世界でははるかにドラマチックな展開が見られる。紀元前2世紀から6世紀ころまで栄えたこの文明がどんな社会だったのか,近年の調査によって新たな手がかりが得られた。それを代表するのが愛知県立大学の杉山三郎教授による数々の発見で,絶大な権力を持つ王の存在をうかがわせる。さらにメキシコの研究者が「羽毛のある蛇の神殿」に続く地下トンネルを発見,神殿の真下に王の墓が見つかる可能性が出てきた。一方では1人の王ではなく複数の有力なエリート家系が支配権を競っていたとする説があり論争が続いているが,ついに真相が解き明かされそうだ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス210「古代文明の輝き」

著者

Erik Vance

メキシコシティを拠点に活動するサイエンスライター。本誌への最近の寄稿記事はメキシコの科学研究と産業応用のギャップを分析した「メキシコに見る問題点」(日経サイエンス 2014年6月号,ウェブのみに掲載,https://www.nikkei-science.com/201406_web.html)。

原題名

Gods of Blood & Stone(SCIENTIFIC AMERICAN July 2014)

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