日経サイエンス  2014年11月号

特集:新説 宇宙の起源

超弦理論が明かす宇宙の起源

中島林彦(編集部) 協力:西村 淳(高エネルギー加速器研究機構)

 万物を説明する究極理論の有力候補,「超弦理論」によれば,重力を伝える重力子をも含む全素粒子は極微の弦であり,弦の振動パターンの違いが素粒子の種類に対応する。そしてこの宇宙は9次元空間とフェルミオン次元と呼ばれる奇妙な次元からなる「超空間」であると説く。この超空間における弦の振る舞いを数値シミュレーションで厳密に再現したところ,最初,弦が存在する9次元空間は極小サイズに縮まっていたが,ある時を境に,9次元のうちの3次元だけが急速に広がり始めた。これは私たちが認識する3次元宇宙の誕生を示唆する。

 

 

再録:別冊日経サイエンス203「ヒッグスを超えて ポスト標準理論の素粒子物理学」

著者

中島林彦 / 協力:西村 淳

中島は日経サイエンス編集長。西村は高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所理論センター准教授。専門は素粒子理論。超弦理論の数値シミュレーションを用いて宇宙創成やブラックホールの内部構造の研究をしている。2014年4月にはホログラムを用いてブラックホールを記述する理論を数値シミュレーションで検証した。

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