日経サイエンス  2014年10月号

銀河を操るダークウェブ

N. I. リベスキンド(独ポツダム天体物理学研究所)

 暗黒物質の存在を前提とした銀河形成理論によると,私たちの天の川銀河の周囲には何千もの小さな衛星銀河が球対称に分布していると考えられる。ところが,これまで見つかった衛星銀河はわずか数十個で,それらは天の川銀河を横切る1つの平面上に整列しているように見える。暗黒物質を仮定した理論が間違っているのだろうか? 最近のシミュレーション研究によると,この不一致は暗黒物質が形成する銀河レベルよりはるかに巨大なクモの巣状構造「ダークウェブ」によってうまく説明できる。ダークウェブは衛星銀河を寄せ集め,天の川銀河の方に高速移動させるスーパーハイウエーのような役割を果たしているらしい。

 

【関連動画】暗黒物質による巨大な蜘蛛の巣状構造「ダークウェブ」のシミュレーション

著者

Noam I. Libeskind

独ライプニッツ協会の研究所の1つ,ポツダム天体物理学研究所に所属する天体物理学者。宇宙のコンピューターモデルを研究している。

原題名

Dwarf Galaxies and the Dark Web(SCIENTIFIC AMERICAN March 2014)

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