日経サイエンス  2014年8月号

バーチャル細胞 生命宿る

M. W. カバート(スタンフォード大学)

 細胞のあらゆる遺伝子と分子の機能を網羅したコンピューターモデルができれば,生物の研究方法や理解の仕方,設計方法が大きく変わる。ヒトの細胞の多くは培養不能で現時点では実験ができないが,そうした実験をコンピューター上で実行できるようになるかもしれない。著者らスタンフォード大学のチームは昨年,マイコプラズマ・ジェニタリウムという最も単純な細菌を丸ごとシミュレートするモデルを完成させた。まだ不完全ではあるが,すでに新しい発見をもたらしている。現在,酵母などもっと複雑な生命体のモデルが開発されつつある。長期的目標は,ヒトの細胞や器官を同じくらい詳細にシミュレートすることだ。

著者

Markus W. Covert

スタンフォード大学生物工学部の助教で,システム生物学の研究室を率いている。

原題名

Simulating a Living Cell(SCIENTIFIC AMERICAN January 2014)

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