
古代から使われている弓はきわめて優れた道具だ。弓を引くと弾性エネルギーがゆっくりと蓄えられ,それが一気に解放されて矢を放つ。構造は単純で,繰り返し正確に機能する。一方,現代の機械は,自動車のワイパーのように変形しながら機能させるため,複数の部品を組み合わせることで柔軟性を実現しているが,しばしば強度が犠牲になり製造コストもかさむ。そこで,単純な機構で柔軟性を実現する弾性(コンプライアント)設計という試みが注目されている。航空機の可変翼,ロボットなどを可能な限り少ない材料・部品の組み合わせで作り,これまで実現しなかった高い機能を生み出すことができる。
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著者
Sridhar Kota
ミシガン大学工学部ヘリック記念教授で,FlexSys社の設立者で社長。
原題名
Shape-Shifting Things to Come(SCIENTIFIC AMERICAN May 2014)