日経サイエンス  2014年8月号

特集:素粒子論の危機

問われる究極理論への道筋

中島林彦(編集部) 協力:浅井祥仁(東京大学)

 素粒子はスピンという物理量の違いで二分される。スピン1/2はクォークや電子など物質を構成するフェルミ粒子で,スピン整数(0,1,2)は光子やグルーオンなど力を伝えるボース粒子だ。超対称性理論(SUSY)によればフェルミ粒子とうりふたつでスピンが整数のスフェルミオン,ボース粒子とうりふたつでスピンが1/2のボシーノが存在する。両者合わせて超対称性粒子と総称され,世界最強の大型ハドロン衝突型加速器LHCで探索されている。超対称性粒子の質量(エネルギー)は理論モデルによって違い,LHCの第1期実験ではナチュラルSUSYというモデルの予想のもとにスフェルミオンの一種,ストップの発見に期待がかかったが見つからなかった。その結果を踏まえ,2015年に始まる第2期実験(第1期より高いエネルギー領域を探索)では暗黒物質の候補とされるボシーノがターゲットになる。

 

 

再録:別冊日経サイエンス203「ヒッグスを超えて ポスト標準理論の素粒子物理学」

著者

中島林彦 / 協力:浅井祥仁

中島は日経サイエンス編集長。浅井は東京大学教授。ATLAS実験の日本グループに参加,ヒッグス粒子と超対称性粒子の探索に力を注いでいる。

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