日経サイエンス  2014年7月号

X線自由電子レーザー 究極の顕微鏡

N. ベラー(米コネティカット大学) P. H. バクスバウム(米スタンフォード大学/米国立SLAC加速器研究所)

 X線レーザーは昔からSFには欠かせないアイテムだったが,科学研究向けの初の装置がスタンフォード大学で動き始めたのはたったの4年前だ。LCLSと呼ばれるこの装置は,米国立SLAC加速器研究所が持つ世界最長の線形粒子加速器を改造して作られた。原子や分子,固体物質に高強度のX線パルスを照射することで,宇宙のどこにも見られない特殊な状態の物質を作り出している。レーザーの短いパルスを一種のストロボ光として用いることで,原子のストップモーション写真のほか,タンパク質やウイルスの高速撮影が可能だ。1兆分の1秒以下で起こる物理的・化学的な変化を記録できる。

 

【関連動画】強力なX線ビームが原子を破壊する様子

 
 

再録:別冊日経サイエンス202「光技術 その軌跡と挑戦 」

著者

Nora Berrah / Philip H. Bucksbaum

ベラーはコネティカット大学の物理学科長で,X線レーザーLCLSにおける調査研究と新鋭装置の建設を指揮している。原子・分子やナノメートルサイズの微小な系と光子との相互作用の研究が専門。米国物理学会のフェローで,原子・表面物理学分野の最高の栄誉である2014年のダヴィソン・ジャーマー賞を受賞。バクスバウムはスタンフォード大学および米国立SLAC加速器研究所のマルゲリート・ブレーク・ウィルバー記念教授で,超光速レーザーとLCLSを用いた研究を専門に行うPULSE研究所の所長を務めている。

原題名

The Ultimate X-ray Machine(SCIENTIFIC AMERICAN January 2014)

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