日経サイエンス  2014年7月号

運動で病気が防げるわけ

S. S. バサック(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院) T. S. チャーチ(ルイジアナ州立大学) J. E. マンソン(ブリガム・アンド・ウィメンズ病院)

 定期的な運動は心臓病や脳卒中,糖尿病の発症やそれらによる死亡リスクを下げるだけでなく,気分を上向かせ,骨を作り,筋肉を強化し,肺活量を上げ,転倒と骨折のリスクを減らし,太りすぎを抑えてくれる。これらはよく知られた効果のごく一部だ。特筆すべきは運動が知能,とりわけ注意力や組織化・計画立案の能力が求められる仕事を遂行する力を高めるらしいこと。一部の人のうつや不安の症状を和らげたり,ある種のがんを検知する免疫系の能力を高め,その発症を防ぐ効果もある。さらに細胞レベルや分子レベルで望ましい変化が起こり,アテローム性動脈硬化症や糖尿病などになりにくくなることも判明した。

 

 

再録:別冊日経サイエンス225「人体の不思議」

著者

Shari S. Bassuk / Timothy S. Church / JoAnn E. Manson

バサックはブリガム・アンド・ウィメンズ病院の疫学研究者でハーバード大学医学部の研究員。チャーチはルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センター教授。同センターのジョン・S・マキレニー寄付講座教授で,予防医学研究部門長も務める。マンソンはブリガム・アンド・ウィメンズ病院の予防医学科長。ハーバード大学医学部の内科学教授および女性の健康ミカエル・アンド・リー・ベル記念教授と,ハーバード公衆衛生大学院の疫学科教授を兼任。

原題名

Why Exercise Works Magic(SCIENTIFIC AMERICAN August 2013)

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