日経サイエンス  2014年7月号

ニュートリノ望遠鏡が待つ次の超新星爆発

R. ジャヤワルダナ(カナダ・トロント大学)

 見慣れぬ星が夜空に出現することがある。その正体は星の大爆発(超新星爆発)で,まばゆい光に先駆けて膨大な量のニュートリノを放出する。ニュートリノは物質とほとんど相互作用しない幽霊のような粒子で検出は非常に難しい。ところが1987年,天の川銀河近傍の大マゼラン雲に超新星が出現した際には,光で観測される3時間前にニュートリノが24個検出され,星の爆発やニュートリノに関する重要な情報が得られた。もし今,天の川銀河で超新星爆発が起これば,世界各地の高感度の検出器が数千個,数百万個のニュートリノを捉え,世界中の天文台に警報が出される。超新星爆発という極限状態の物理学に新たな展開がもたらされるだろう。

著者

Ray Jayawardhana

カナダのトロント大学教授。カナダの観測天文学分野のリサーチ・チェアでもある。専門は惑星系の起源と,恒星と褐色矮星の形成。著書に『もう一つの地球が見つかる日─系外惑星探査の最前線』(邦訳は草思社)がある。

原題名

Coming Soon : A Supernova Near You(SCIENTIFIC AMERICAN December 2013)

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