
ヒトの脳のどこでどの遺伝子が働いているかを調べて全体像を地図にする「脳遺伝子アトラス」プロジェクトによって,典型的な成人6人の遺伝子発現マップが作られた。これに先立って完成していたマウスの脳に関する遺伝子発現マップと比較した結果,顕著な違いがあることが明らかになった。マウスは新薬の実験で人間の代わりに広く使われているが,適切なモデルとはいえないかもしれない。現在,アカゲザルの脳遺伝子マップも作成されつつある。これらの遺伝子アトラスは,脳の詳細な構造を描く進行中の他のプロジェクトとともに,神経疾患の原因と治療法の研究に大いに役立つだろう。
【スライドショー】New Views of the Brain
著者
Ed Lein / Mike Hawrylycz
レインは神経生物学者で,ホールリッツは応用数学者。ともにシアトルにあるアレン脳科学研究所に所属し,マウスとアカゲザル,ヒトの脳アトラスプロジェクトの設計と解析において主導的役割を果たしている。
原題名
The Genetic Geography of the Brain(SCIENTIFIC AMERICAN April 2014)