日経サイエンス  2014年5月号

特集:無意識のわな

アインシュテルング効果 良案が排除されるわけ

M. ビラリッチ(墺クラーゲンフルト大学) P. マクラウド(英オックスフォード大学)

 「アインシュテルング効果」とは,問題の解のうち最もなじみ深いものに脳が固執して,その他の解を無視してしまう頑固な傾向のことだ。この精神現象は1940年代から知られていたが,どのようにそれが生じるのかについて確かなことがわかったのは最近だ。チェスを指しているプレーヤーが定石にとらわれ,よりよい指し手の手がかりとなるマス目が目に入らなくなっていることが,目の動きを追跡する近年の研究によって示された。

 

 

再録:別冊日経サイエンス201「意識と感覚の脳科学」

著者

Merim Bilalić / Peter McLeod

ビラリッチはオーストリアにあるクラーゲンフルト大学の認知科学の教授で,独テュービンゲン大学のシニアリサーチフェロー。アインシュテルング効果に関する研究で,英国心理学会の2008年「優秀研究論文賞」を受賞した。

マクラウドは英オックスフォード大学クイーンズ・カレッジの名誉フェロー。オックスフォード理論神経科学・人工知能財団の会長を務めている。

原題名

Why Good Thoughts Block Better Ones(SCIENTIFIC AMERICAN March 2014)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

アインシュテルング効果構え効果認知バイアス確証バイアス