日経サイエンス  2014年4月号

湿地修復に妙案

J. ケアリー(フリーランスライター)

 湿地には環境を浄化したり,水害を防いだりといった重要な機能があるが,米国はじめ世界各地でその急速な消失が続いている。湿地を再生する様々なプロジェクトが進められてきたが,その多くが失敗に終わり,資金が無駄に使われてきた。その原因は,生態系のすべてを完全に元の状態に戻そうとしたことにあるようだ。そうではなく,再生の目標をあれこれ広げずに,魚類の個体数を増やすとか,水質を改善するとか,1~2つに絞り込み,後は自然の持つ回復力に任せるというやり方が有効であることがはっきりしてきた。このような自然を見方につける手法をとることで,湿地の再生に成功する例が世界各地で増えている。

 
 再録:別冊日経サイエンス214「人類危機 未来への扉を求めて」

著者

John Carey

Business Week 誌の元シニア記者で,現在は,エネルギーと環境問題を扱うフ リーランスライター。「気候変動 想定外の加速」(日経サイエンス2013年2月号) の著者。

原題名

Architects of the Swamp(SCIENTIFIC AMERICAN December 2013)

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