日経サイエンス  2014年4月号

ビッグデータをどう生かすか

A. ペントランド(米マサチューセッツ工科大学)

  社会のメカニズムを分析するとき,社会学や経済学ではこれまで,社会を構成する個々人ではなく,「市場」や「階級」など集団としての振る舞いや法則に注目 してきた。無理もないだろう。何万,何十万という人の行動をすべて調べ上げるのは不可能だった。

 

 だが情報技術の進展は,そんな“不可能”を可能にした。携 帯電話やパソコンに記された交信記録,クレジットカードの購買記録やスマホのGPSデータなどから,個々の行動をかなり詳しく追跡できる。それを集積した ビッグデータは,高い生産性や効率的な医療など,より良い社会システムを実現する武器になるだろう。ただそのためには個人のプライバシーを守る新たな施策 が不可欠だ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス212「サイバーセキュリティー」

著者

Alex “Sandy” Pentland

マサチューセッツ工科大学ヒューマンダイナミクス研究所所長。世界経済フォーラムのビッグデータおよび個人データに関するイニシアチブを主導した。最近,著書「Social Physics」(Penguin Press)を上梓した。

原題名

The Data-Driven Society

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