日経サイエンス  2014年4月号

デジタルより紙がわかりやすい理由

F. ジャブル(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 iPadやキンドルなどの電子書籍リーダーを使う人が増えている。読書体験はどう変わっていくのか? 過去20年間の研究によると,画面で読むよりも紙のほうが理解しやすく記憶に残る場合が多い。画面だと全文における現在位置を直覚的に把握しにくいのが一因らしい。また,デジタル世代の子供たちも,紙で読んだほうが物語の筋が記憶に残るという研究結果が出ている。デジタル機器は以前に比べると見やすくなったし,紙の本にはない検索機能もある。だが,読み慣れた本ならキーワードを入力するまでもなく,その文章がどこにあったかおよそ見当がつき,パラパラめくって簡単に探せる。紙の最大の強みは,その「単純さ」にあるようだ。

 
 
再録:別冊日経サイエンス207「心を探る 記憶と知覚の脳科学」

原題名

Why the Brain Prefers Paper(SCIENTIFIC AMERICAN November 2013)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

iPadデジタルネイティブ心的表象イーインクワーキングメモリーメタ認知的な学習調整