
一般相対性理論によると,連星を構成する中性子星(太陽などよりはるかに超高密度の星)どうしが衝突・合体する時や超新星爆発の際などは,周囲の重力場が激しく変動し,その揺らぎが「重力波」となって光速で四方に伝わっていくと考えられている。重力波の存在は連星中性子星(パルサー)の長期観測から間接的に確かめられた。現在,その直接観測を成し遂げようと日米欧は競って大型の重力波望遠鏡の建設を進めている。一辺が数kmもあるL字形をした構造の「レーザー干渉計」で,重力波による空間の伸び縮みを捉える。日本は奥飛騨の神岡鉱山に,一辺3kmのレーザー干渉計,KAGRAを建設中で,トンネルの掘削が大詰めを迎えている。ノイズとなる振動が少ない地下で,レーザー光を反射させる鏡を極低温まで冷やして観測を行うことで世界最高レベルの感度を実現,重力波観測の一番乗りを目指している。
協力:大橋正健(おおはし・まさたけ)/ 安東正樹(あんどう・まさき) 中島は日経サイエンス編集長。大橋は東京大学宇宙線研究所准教授。専門は重力波宇宙物理学。岐阜県飛騨市の神岡鉱山の地下で,LIGOに匹敵する大型低温重力波望遠鏡KAGRAの建設に取り組んでいる。安東は東京大学大学院理学系研究科准教授で国立天文台准教授(重力波プロジェクト推進室)も兼務する。DECIGOパスファインダーの中心メンバーで,KAGRAの研究にも携わる。
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