緑のイネや黄金のコムギを宇宙を飛ぶ衛星から眺めると
その景色は今年の収穫や作物の出来を物語る
地球観測技術を,日本とアジアの農業のために役立てたい
ベテランの農家は作物の葉や土の色を見ただけで,「肥料が足りない」「水が多すぎる」などの状況を判断し,農作業を細かく調整している。そうしたプロの目を衛星写真で代替できないか──千葉大学の本郷千春は90年代,時代に先駆けてそんな未来図を描き,実現への道筋をつけた。 (文中敬称略)
衛星画像と,実際に田畑で測定したデータを突き合わせ,その関連を明らかにする。そうすれば実際に現地に行ってデータを測定しなくとも,衛星画像から田畑の状態を見極め,作物の収量や品質を予測することが可能になるかもしれない。衛星画像なら広い範囲を一度に調べることができるし,天災にあった田畑の被害状況を確認したり,耕作が放棄された山奥の土地の現状を知るのにも役立つだろう。
本郷千春(ほんごう・ちはる) 千葉大学環境リモートセンシング研究センター准教授。1994 年千葉大学大学院博士課程自然科学研究科修了,博士(農学)。同大環境リモートセンシング研究センター助手,助教を経て2012年から現職。休日にはしばしば森の中に出かけ,木々の古今に思いを馳せるなどして過ごす。