日経サイエンス  2014年2月号

大都市水害に立ち向かう

M. フィシェッティ(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 フィリピンや伊豆大島の台風被害が記憶に新しいが,米国東部ではハリケーンの被害が深刻になっている。2012年秋,ニューヨークのマンハッタンはハリケーン・サンディの高潮で水浸しになった。河川下を走る7つの長い地下鉄トンネルは水没,大きなダメージを受けた。今後,ニューヨークでは大洪水が起こる頻度が高まり,2100年頃には2年に1度になると予想される。気候変動による海流の変化で,米国東海岸の海面上昇が世界平均よりもかなり高くなるとみられるのが一因だ。抜本的な対策はニューヨークの湾口などに巨大な防潮堤を建設することと,海岸部の低地からの立ち退きだが,そうした施策には何十億ドルもの費用と長い年月がかかる。

 
 
再録:別冊日経サイエンス214「人類危機 未来への扉を求めて」

原題名

Storm of the Century(Every Two Years)(SCIENTIFIC AMERICAN June 2013)

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