日経サイエンス  2014年1月号

微生物の遊泳ワザ

F. ジャブル(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 1919年,ボストンにあった古い糖蜜貯蔵タンクが壊れて大量のシロップが市街地に流出,多くの人がシロップにのみ込まれ動くこともままならずに200人近い死傷者が出た。「ボストン糖蜜災害」として知られる事故だ。細菌などの微生物は非常に小さいため,私たち人間が糖蜜のなかで動きが取れなくなるように,水などの流体のなかを移動するのが難しい。多くの微生物は強力な鞭毛などを備えているが,そうした明らかな付属器がないのに泳ぐことができものもいて,科学者を当惑させてきた。近年,その謎の一部が解明され始め,精巧なタンパク質モーターや粘り気を薄める酵素といった適応の数々が明らかになってきた。

 

 

ボストン糖蜜災害について(英語)

 

 

再録:別冊日経サイエンス206「生きもの 驚異の世界」

原題名

How To Swim in Molasses(SCIENTIFIC AMERICAN August 2013)

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