
人間や飼い猫など陸の動物から病原菌や寄生虫が海に流入して,海生動物を脅かしている。ネコの寄生虫がイルカを殺し,有袋類のオポッサムに感染する寄生生物がカリフォルニアラッコの命を奪うなどの事例が全世界から報告されるようになった。以前のデータがないので比較できないものの,こうした「ポリュータジェン(汚染病原体)」は増えていると思われる。さらに,人間が排出した薬剤耐性菌がサメやアザラシで検出されており,これらの菌が変異して再び人間に感染する懸念もある。下水の浄化処理を徹底し,陸と海の間で自然の浄化フィルターとして働いている湿地を広げることで,ポリュータジェンの脅威を緩和できるだろう。
著者
Christopher Solomon
Seattle Times紙の元記者で,環境と野外生活についてNew York Times紙や Outside誌などに記事を執筆している。
原題名
How Kitty Is Killing the Dolphins(SCIENTIFIC AMERICAN May 2013)
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サルコシスティス・ニューロナ/ポリュータジェン/メチシリン耐性黄色ブドウ球菌/セラチア・マルセセンス/トキソプラズマ/オーシスト/ウェルシュ菌/ネオスポラ・カニナム