日経サイエンス  2014年1月号

フロントランナー挑む 第34回

睡眠の本質に遺伝学と神経科学で迫る:柳沢正史

西山彰彦(日本経済新聞社編集委員)

ヒトはなぜ,眠らないと生きられないのか?
眠いときと眠くないときの脳はどこが違っているのか?
ベールにつつまれていた眠りの正体に,ようやく一筋の光が差し始めた

 

 高血圧を引き起こす強力な血管収縮物質「エンドセリン」の発見で有名だった筑波大学の薬理学者,柳沢正史が,睡眠の研究に舵を切ったのは15年前。「オレキシン」という神経ペプチドの発見がきっかけだった。1999年にはオレキシンが,人間の睡眠障害ナルコレプシーの原因物質であることを突き止め,世界をアッと驚かせた。ナルコレプシーの治療薬の開発を急ぐ一方で,「眠気とは何か」という身近で根本的な問いに神経科学の言葉で迫ろうとしている。 (文中敬称略)

 

 
再録:「フロントランナー 挑戦する科学者」

柳沢正史(やなぎさわ・まさし)
1960年,東京都生まれ。85年,筑波大学医学専門学群卒業,同大大学院進学。91年,米テキサス大学サウスウエスタン医学センター准教授兼ハワード・ヒューズ医学研究所准研究員に就任。2003年,米国科学アカデミー会員選出。2010年,内閣府の最先端研究開発支援(FIRST)プログラムの中心研究者。2012年,国際統合睡眠医科学研究機構の機構長就任。敬虔なキリスト教徒でもある。

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