日経サイエンス  2013年10月号

特集:大絶滅と復活

明らかになった生命爆発の主役

R. マーティン(デラウェア大学) A. クイッグ(テキサスA&M大学ガルべストン校)

 2億5000万年前の大量絶滅によって海洋生物の多くが姿を消した後,海洋生物の多様化が驚異的な勢いで始まった。これまで,この爆発的進化は,平均海面の変化などの物理的要因によるものだと考えられてきた。しかし,意外にも,その爆発的多様化の原動力となったのは植物プランクトンと呼ばれる小さな水生植物の進化だったようだ。植物プランクトンの量の増加と質の変化が現代の海洋動物群の出現を促したようだ。そのころ,珪藻などの紅色の植物プランクトンが緑色の植物プランクトンに取って代わり始めた。紅色の植物プランクトンは海洋生物を爆発的に多様化させ,それが現代の海洋動物相の到来につながったと考えられている。

 

 
再録:別冊日経サイエンス235「進化と絶滅 生命はいか誕生し多様化したか」

著者

Ronald Martin / Antonietta Quigg

マーティンはデラウェア大学の地質学教授。研究テーマは生態系と生物地球化学的循環の進化。クイッグはテキサスA&M大学ガルべストン校の海洋生物学教授。植物プランクトンの生態と生理を研究している。

原題名

Tiny Plants That Once Ruled the Seas(SCIENTIFIC AMERICAN June 2013)

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