日経サイエンス  2013年9月号

右手型アミノ酸

S. エバーツ(Chemical & Engineering News誌)

 タンパク質を構成しているアミノ酸は20種ほどあり,ほとんどには光学異性体(鏡像異性体)が存在する。生物が作り出しているのはそのうち「左手型」で,例外は細菌が作っているアミノ酸くらい──というのが長年の“常識”だったが,高等動物でもその例外がたくさん見つかってきた。カモノハシの毒やある種のアマガエルが分泌する幻覚誘発性物質は右手型アミノ酸を含んでいる。ヒトの脳でも右手型アミノ酸が神経伝達物質として働いている。さらに脳以外でも右手型が作られているらしい。いったいなぜ,何のために? 人間の皮膚や腸にいる常在菌が作り出す右手型アミノ酸が私たちの健康や行動に影響していると考える科学者もいる。

 

著者

Sarah Everts

カナダのモントリオール生まれで,Chemical & Engineering News誌のベルリン駐在記者。芸術と科学に関するブログArtful Scienceも執筆している。

監修:黒田玲子 東京大学名誉教授

原題名

Mirror Molecules(SCIENTIFIC AMERICAN May 2013)

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